朝、電話の音で目が覚めた。
下の居間でお母さんが電話に出る声が聞こえて、急いで階段を降りて、話している母の横に立つ。受話器を置いてお母さんが
「おばさんが昨夜の3時頃亡くなったって」と静かに言った。
今日、病院に行こうと思ってたのに。会いたかったのに、遅かったんだ。
悲しくて、昨日だっていっぱい泣いたのに昨日よりもっと涙が出た。大切な人がいなくなるのって、こんなに悲しいの。
おばさんは、正確には私のおばあちゃんのお姉さんなので「大伯母」にあたるのですが、わたしの家の隣に一人で住んでいて、おばあちゃんの家でやっている仕事に働きに来てくれていた事もあったのでしょっちゅう会っていたし、本当にもう一人のおばあちゃんのように思っていた人でした。
学校から帰ってくるといつもお庭に出ていて、「お茶飲んでいかん?」と言ってくれたり、東京に言ってからも実家に帰った時に時々会うと「遊びに来てよ」と言って、いつもやさしくて。
おばあちゃんのところで働くのを辞めてからなかなか会わなくなって、わたしも遊びに行くのを億劫に思っていた時もあったので、どうしてもっと遊びに行ってあげなかったのか、わたしでも話相手にはなれたかもしれないのに。今更思ったって後悔するばっかりで、ますます悲しくなる。去年おうちに行った時も具合が悪くて寝こんでいたし、年末にも一度入院していてお見舞いに行ったきりだった。元気な姿はもう何年も見ていなかった気がする。年が明けて退院もして少し元気になったと聞いていたので、手紙でも出そうと思っていた矢先だった。
「人が死ぬ」という感覚がよく分からない、実感もないし、ただもう声も聞けないし話もできないという事だけは分かる。生きていたって声も聞けない人はいるけど、おばさんはもうどこにもいないんだなぁ。なんだろうこの感じ。